[雑記]道長の歌から千年だそうで

■朝日新聞デジタル
この世をば…道長が詠んだ満月、1千年後の今宵も夜空に

この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の 欠けたることもなしと思へば

自分が子供の頃は、権勢を誇り思い上がった藤原道長の句であるというのが通説だった気がする。
今は道長の日記等から、ちょっと違った解釈もあるようだ。

当時の官僚トップだった藤原道長は、泊まり込みで政務をこなす激務の毎日で、そのせいか糖尿病も患っておりこの歌を詠んだ時点で目もかなり不自由だったらしい。
よく見えない満月を前に、彼は何を思ったのだろう。
この後、ほどなくして出家する事になる。

そういう流れを前提に歌を考え直すと、まあ、隆盛を誇った藤原氏の「驕り高ぶる」気持ちが無かったとは言えないだろうけど、道長自身の気持ちとしては、日本のトップとして激務をこなし限界までやり切った自負が、満足感が、この歌を詠ませたという事なのかもしれない。
そう解釈すると、出家する少し前にこれくらい言い放ちたくなる気持ちはわからないではない。
この月見に同席していた人たちも、「なんと傲岸不遜な」ではなく、「お疲れ様、あんたよく頑張ったよ」という労いの雰囲気であったのかもしれない。

人の営みってのは今も千年前も変わらず、仕事に励み、月を愛でるものなんだなあと、妙にセンチな気分になる夜。
というわけで日本酒でも飲みながら月でも眺めるかと窓を開けた。

寒い・・・やっぱり閉めよう。
道長さん、月眺めるような季節じゃないっすよ、寒いって。

こんなニュースを肴にひとり呑むだけでも満足できちゃう、それは贅沢なことだなあと思った晩秋の夜長。


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