名作漫画『この世界の片隅に』を原作とした2016年版の映画では、描ききれなかったリンさん関係のエピソードを主に追加した2019年長尺版『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』を観てきました!
なんと168分!なげーよ!
と思ったんだけど、飽きさせずにラストまで鑑賞することができました。
さすがです。
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[映画]この世界の(さらにいくつもの)片隅に
名作漫画『この世界の片隅に』を原作とした2016年版の映画では、描ききれなかったリンさん関係のエピソードを主に追加した2019年長尺版『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』を観てきました!
なんと168分!なげーよ!
と思ったんだけど、飽きさせずにラストまで鑑賞することができました。
さすがです。
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こうの史代の漫画「この世界の片隅に」好きとしては、ここ数年は本当に幸せであった。
2011年には日テレの終戦記念ドラマとして北川景子主演(めっちゃ美人!)で初の映像化を果たした。
2016年には片淵須直監督によるアニメ映画版「この世界の片隅に」が公開され、その綿密な調査に基づく完璧な原作世界の再現でファンを唸らせた。
そして今回、過去2回の映像化では詰め込み切れなかったエピソードを補完するかのように、全9話の長尺連続ドラマとしてTBS版が放映されるに至った。
制作を変え、放映の形を変え、この短期間に3回も映像化されるなど、原作ファンとしては幸福以外の何者でもないだろう。
そしてそれだけ求められるのも、原作の魅力があればこそである。
その3回目となる映像化となったTBSドラマも、本日最終回を終えた。
今はただただ、制作スタッフに感謝を伝えたい気持ちでいっぱいだ。
当初は、2016年版のアニメ映画が余りにも完成度が高かったが故に、また予算や技術的問題がついてまわる実写TVドラマであるだけに原作の再現度という点で不安視する向きも多かった。
見終わってから思うに、その心配は当たっていた・・・が、しかし、そんなものを補って余りあるくらいのもう一つの片隅世界を構築してくれた。
物語を読み慣れてる人でないと、その行間や裏事情を推し量れない原作をわかりやすく修正したり追加していったこと。
(リンさんと周作の関係なんかは、原作をサラッと読むだけではよくわからないが、セリフやシーンを追加することでよりわかりやすくした)
原作のすずさん、周作さんをバッチリ主演の二人の役者さんが再現してくれたこと。
(すずさんはちょっと謝りすぎな感じはしたけどw でもバッチリすずさんと周作さんでした!)
そして何より、ドラマオリジナルとなる要素で物語をうまく修正・補完してくれたこと。
個人的にはこれが一番大きかった。
例えば刈谷さんは、原作では夫を失い息子も原爆で失い、家族が誰もいなくなる不憫極まる状況で終戦を迎える。
それでも日々生きていかなきゃならないと、逞しく生きる刈谷さんの姿はそれはそれで心打たれるものがあった。
反面、やはりその境遇にやりきれない気持ちになったのも事実だったが、TBSドラマ版では刈谷さんにもうひとり幸子という娘(これがまた良い味出してる役者さんなんだよ!)を追加して、一人ぼっちの最後ではない「救い」を与えた。
その後の北條家、特に拾い子である『節子(原作では名前不明、小説版では陽子)』と主人公『すず』はいったいどうなったのか、幸福に今でも生きているのかといった声はファンの間で多くあった。
アニメ映画版後にSNS界隈で「今でもすずさんはこうしているに違いない」と、半ば公式も同調して匂わせる程度には共通した認識があったのだが、それを「現代パート」を織り込む形で具体的な形としてぶち込んできた。
それを今日観終わって、ああそうか、このスタッフはアニメ版同様にただ原作をなぞるつもりはなかったのだ、今までの映像化を終えてファンたちの間で望んできた「その先」を埋め込んだのだ。
ファンの愛したこの作品の「その先」を形にしたんだ。
そう思って胸がいっぱいになった。
ただし。
今日の最終回では「ファンが望んだ共通認識のその先」だけでは説明できないセリフもあった。
共通認識の具体化だけであれば、きっと最後はカープを応援するすずさんで締めただろうう。
当初はその予定だったんじゃないかとは思うのだけど、そこに「頑張れ!広島!」というセリフをおそらくは急に入れたように見えた。
これは西日本豪雨の被災地へのエールを込めたものではないかと推察する。
さすがに唐突感は否めなかったからだ。
しかし、リアルタイムで起こった災害を意識してそのセリフを入れた事で、「戦中戦後の市井の人々の営みを地続きのものとして描いた」原作に相応しく、その先の現代にまで地続きにしてみせたのだと評価したい。
ありがとう、本当にありがとう。
文句がまったくないと言えば嘘になるが、正直言ってそんな事はどうでもいい。
この名作漫画にいち早く目をつけて映像化した日テレも彗眼であったと思うし、今作含め、3作品それぞれが素晴らしかったとだけ言いたい。
12月には2016年のアニメ映画版に30分の追加シーンを加えた「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」が上映される予定だ。
原作ファン至福の時はまだまだ続く!
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Netflixにて本日から配信開始したのでレビューしておこうと思う。
私自身は2016年の秋に映画館にて3回視聴、昨年9月にはBDも購入している。
勿論こうの史代原作の漫画もそれ以前から所持していたし、映画化の話を聞いてから公開を心待ちにしていたこの作品のファンだ。
この映画はクラウドファンディングでパイロット版を製作する資金を募ったところ、あっという間に目標の2000万円が集まった事でも話題になった。
自分も情報さえ事前に知っていれば資金参加したのに、口惜しい。
それでも監督は資金繰りには相当苦労したらしいが、果たして出来があった映画は本当に素晴らしいものであった。
片渕監督ありがとう。
ちなみに、その後の海外渡航用資金募集には参加した。
戦争映画というととにかく悲惨なもの、悲しいもの、残酷な描写でせめてくるというイメージがあるが、この作品はちょっと毛色が異なる。
いや、確かにそういった描写は特に後半にあるんだけど、どこか暖かく、癒やされる映画だ。
それはこうの史代独特のとぼけたセリフ回しにあるのか、主人公である「浦野すず」の「ぼーっとした」性格によるものなのかわからないが、どんな時代でも暖かな団欒はあり、家族の笑顔はあり、今と変わらぬ人々の営みがあったことを再確認させてくれる。
ただほんわかしながらも、実はその台詞、所作一つ一つにしっかりした理由があり細かい心理描写と人間関係があるので、観る度にその行動や物言いにどんな理由があるか新たな発見があるのも面白い。
また、元々原作もしっかり当時を下調べして描かれているところ、片渕監督は更に徹底して当時の生活を調査し、その日の天気、配給品、どこに誰が住んでいたかまで調べて作品に反映したそうだ。
その為、ネットでは「あの場面のあれは当時の~」なんてマニアックな話をしだすと止まらなくなる現象が散見された。
幼馴染の水原が心境を吐露する場面、乗艦していた青葉の戦史を調べると更に理解できるし、スケッチをしていて憲兵に絞られるシーンは、「サザエさん」の原作者である長谷川町子の自伝が元ネタであったり、名前は元素からきていて・・・皆が掲示板などで語りたくなるネタは尽きない映画だったと思う。
原作のエピソードからリンさんのくだりは大幅に削られてはいるが、これはこれで全体に纏まりが出てよかった。
そのエピソードが無いが故に唐突感や不自然さが出ているところはあるにはあるけれど、ちょっと散漫になったんじゃないかな。
(まあ、今度、リンさんのエピソードを加えた完全版を製作するそうでそれはそれで楽しみではある)
後半、戦況が悪化してからは一気に辛い状況に陥っていくけれど、そんな中でも、どんな状況でも、この世界の片隅に愛情は生まれ育てていける。
戦争映画は気が重くなるからと敬遠せず、Netflixなら新規加入で無料期間もあるので、是非観ていただきたい。
本当に素晴らしい作品だ。
個人的評価:★★★★★
すずさんかわいい度:★★★★★
義姉さんかわいい度:★★★★★
そういやクラウドファンディングのmakuakeで、映画「この世界の片隅に」の海外展開用資金を少し提供していたんだった。
その報告書が届いた。
私自身は別にこういうのいらないんだけど、提供して貰った資金をきちんと目的の用途に使いましたよ、というエビデンスとなる報告はとてもとても大事。
ちゃんとやってくれてるなと安心しました。
クラウドファンディング第一弾の時は既に募集終わってて悔しい思いをした。
こうの史代の原作を読んでいて好きな作品だったので、映画化に際しても資金を提供したかった、その思いを、この第2弾となる「海外展開資金募集」にぶつけたんだよね。
↑は海外渡航報告書の一部、「各国の宣伝ポスター一覧」のページ。
実に様々な国に上映してくれたんだなあと思うと感慨深い・・・。
ただ、「各国の映画界で話題に」というような内容は読み取れず、そこは残念だった。
まあ、正直なところ「この映画は日本人以外の心の琴線に触れるだろうか」と懐疑的に思ってはいたので、やはりそこは予想通り「知る人ぞ知る」レベルに収まってるんだろう。
大変素晴らしい原作であり、大変素晴らしい映画ではある。
でもそれはやっぱり、日本人として生まれ日本人として育った土壌があってこそ、あの市井の人々と歴史の地続き感が心に染み渡る映画だと思うんだよね。
勿論、映画としては「人類普遍のテーマ」を扱っているのは間違いないんだけど・・・日本の歴史・文化を通さないとなかなか共感し辛いんじゃないかなあ。
それでもまあ、映画好きの海外の方一人でも多くに観ていただいて、何かを感じ取っていただけたなら、資金提供者の1人としてはその甲斐があったんじゃないかと思う次第です。
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