[映画]空母いぶき

「沈黙の艦隊」「ジパング」でお馴染み、かわぐちかいじの同名マンガを原作とする実写映画。
原作は中国と尖閣諸島を巡って軍事衝突に発展していく話らしいが、さすがに映画でそれはできないって事で「東亜連邦」という架空のならず者の新興国との軍事衝突に改変されている。
まあ、中国の映画市場に是が非でもコンテンツを送り込みたい日本映画界にしてみりゃ、できるだけ中国を刺激したくないでしょうからね、ただでさえ、日本映画の割当枠少ないのに。

一方で、首相役の佐藤浩市のインタビューが原因で、日本の一部、特に首相応援団の界隈が大騒ぎしたことで話題にもなった。
自分には何をそんなに怒ってるのかさっぱりわからないんだけども。実際映画を観たけど「人間的な弱さも持ち合わせた人が、首相という重責にも負けず事態の収拾に懸命に対処し、成長していく」様子を好意的に描いていたと思う。難病に配慮して、くらいならわからないではないんだけど、決して揶揄しているわけではないと思うよ。

さて、自衛隊は現時点では空母を所持していないので、F-35を搭載する空母いぶき、も架空の戦力となる。
とはいえ、現実でも当初から空母所持が目的ではないかと言われたヘリコプター搭載艦「いずも」「かが」の空母転用が最近正式に決まったので、映画の日本側戦力が現実通りになるのはもう目と鼻の先だ。そういう意味で、ある程度の軍事力を持った武装集団に対して、自衛隊がどのように戦えるのかをシミュレートしている映画なのかな、と思って視聴した。

正直なところ、映画のように相手の魚雷やミサイルをサクサク迎撃できるものなのか疑問だったりもするのだけど、イージス艦の迎撃システムが次々炸裂していく様子はみてて気持ち良い。いやあ、頼もしいっすなあ。MiG-35とのドッグファイトもなかなかのもので、輝くフレアを撒きながらミサイルを躱すF-35Bは画的にも美しかった。低予算映画の割にVFXも頑張ったんじゃない?
もちろん、そこには低予算なりの涙ぐましい節約の影響もあり、CG減らしたり誤魔化すためにやたらアップのシーンが多かったり、薄暗い画面ばかりだったりするところは大いに不満なわけですけど・・・。

全編を通して「専守防衛の徹底、敵も味方も殺すな」といった精神が流れていて、それはそれで素晴らしい思想だなあと思いつつも、ちょっと現実離れした夢想に過ぎないのではないかとも思った。実際にこのような事態が起こったとして、初島をとられて職員も捕らえられている状況で、そこまで攻撃を躊躇するかね?海上保安庁の警備艇が不審船に実弾叩き込んだ事もある国なんですけどね、日本は。

話のオチの付け方は、エンターテイメントとしてはドッチラケな決着の仕方だった。けれど結局、他国、特に大国の意向には従わなければならない、その間でうまく立ち回らなければならないのが日本の立ち位置なのは、「おもちゃ」を手に入れたところで変わらないのが現実だからね。ある意味リアルな終わらせ方でしょう。
まあ、なんで双方に魚雷撃ったのか意味がわからんけど(;・∀・) あれかな、あの中に「東亜連邦」を支援していた黒幕がいたけど、流れ的に仕方なく止めにきただけなのでそのフラストレーションを表現してるのかな?w

役者の演技はベテランぞろいだったので安心してみれました。
一部、肝心な場面で演技へたくそなヤツがいたのは残念だったかな。

全体的にはまあまあ楽しめました。

個人的評価:★★★
戦闘の緊張感:★★★★


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[映画]空母いぶき」への2件のフィードバック

  1. ていこむ

    私は映画を見ていないのでなにも言えませんし言いません
    空母いぶきについてはこの記事を読むまでは全く知らなかったのですが ネットで感想を見るといろいろあって面白かったです
    へぇ脚本は伊藤和典氏なのか 押井守氏と同じもう年だろうにと思ったら私と数日違いだったりしてw

    いずも型ヘリコプター護衛艦 完全に2万トンクラスの軽空母ですね DDHなんて駆逐艦(護衛艦)を名乗っていますけれども 自衛隊やりやがったなw

    ないしょの話ですが(どこがだ)現役時代Mで始まるような電機会社でDD艦のIP電話システムの仕事をしたことがあります(守秘義務違反にならんだろうなあ というかこの件では守秘義務契約をした覚えが無い 別の某機構の仕事では守秘義務契約をしたことがあります)
    もし更新されていなければイージス艦のどれかで私の書いたコードが動いているはず 元気にやっているかな

    ついでに
    話は変わりますが ハワイにあるすばる望遠鏡 あれの受注元が伊丹にあるM電機通信機製作所です 通信機製作所 電機会社内部では通電と呼ばれています なんとか製作所を何電と呼ぶことになっています
    その通電に一時期よく通っていました 私はすばる関係にはまったく関わってはいないのですが それを知った時とてもやりたかった 例のアクチュエータの制御プログラムとかとても面白そうです
    多分MMSとかMSSとか言うM電機関連のソフトウェア会社でやったのでしょう うらやましい 

    返信
    1. kampfer 投稿作成者

      専守防衛であれば戦闘機飛ばすにしても本土からとんでける範囲で事足りそうな気もするので、わざわざ空母保有する意義が自分にはイマイチわからないのですけど、どういう運用を想定してるのか自衛隊に聞いてみたいところです。

      Mのグループはやっぱりそういう関係の仕事多いんですねえ、きっとコードちゃんも元気にやってると思います!
      軍事ではないですが省庁関係の仕事では守秘義務とか結構厳しくて、中には国籍指定までしてくることもあるらしいです。
      はい、らしい、としか言えませんw
      うーん、今の世の中やっぱり仕事の話はし辛いなあ。

      返信

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