[映画]万引き家族

日本のどこかにいるけれども、決して人数は多くないマイノリティの貧しい人々。
その境遇にいる理由は様々・・・だけれどもその世界を、誰もが目を背けたい現実をガツンと眼前に突きつけた迷作。
カンヌ映画祭パルムドール受賞で一躍話題になり、このテの映画としては結構お客も入ってるらしい。
でも、これがヒットするの、なーんかやだなあと思ったりした(;´Д`)
いや映画を腐すつもりはないんです。
でもやっぱり観終わってのモヤモヤした、やるせなさたるや、心へのダメージが結構でかいです、はい。

映画自体は誰もが悲惨な結末を迎えるわけではない。
むしろ、モヤモヤとしたぶん投げ感のある結末も「これで良かったのかも」と思えるだけ、現実の虐待死ニュースよりこの映画の方が万倍マシではある。
(最近、虐待の末亡くなった目黒の結愛ちゃんのようなタイムリーなニュースの後だけに、余計に)

この血の繋がっていない家族には、一人ひとりにそこにいる理由があり、その誰もが絆を求め、ぬくもりを求め、人並みの家族としての役割を求めていた。
それは無償の家族愛というほど尊いものでもなく、人間のエゴにまみれたものであったけれども、誰がそれを責められるだろうか。

そしてこの危ういバランスの上に成り立った、「家族」を演じた6人の演技が素晴らしい。
こんなに自然でその役柄になりきれたのは、役者の資質もさることながら監督の手腕も大きかったのだろう。
安藤サクラが「本当に好きだったらこうするの」とするシーンや、「何て呼ばれてたの」と問われて涙にくれるシーンなど、多くを語らずともその思いは痛い程伝わる。
リリーフランキーの不器用でエゴ丸出しだけど人としての愛情にも逆らえない複雑な演技も、どれもが愛おしい。
この映画は当初「声を出して呼んで」という名前だったそうだが、これは明らかにこの2人の切なる思いを表題にしたものだろう。
子役の2人も上手だったし、樹木希林もさすがの演技。
松岡茉優はエロい・・・。
いや、ほんとに役者の演技の上手さ自然さには唸ってしまった。

俺はこの映画を人には勧めないけれども、観てよかったと思う。
ただ、精神的なダメージは食らうから観たい人は覚悟しとけよ。

個人的評価:★★★★
家族って幸福ってなんだろう度:★★★★★


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