カンヌでパルムドール受賞した是枝監督「万引き家族」について、監督が政府の祝意を辞退する、権力とは距離を保つと表明した件。
監督への擁護と批判で一部ネット界隈が盛り上がっている。
自分としては、受けても受けなくても良い、そんな怒るような態度表明でもないと思ってはいるのだが、それについては騒動に若干うんざりしているので脇においておく。
ただその中で、監督が映画作成にあたって文化庁から2000万円の助成金を支給されたことで「権力と距離を保つというなら、助成金返上しろ」的な発言をいくつか見かけたが、恐らく「万引き家族」については、助成額が満額返金されるはずなのでtogetterにこんなまとめを作った。
タイトルは若干釣り気味。
国民の税金を文化発展の為、正当な手続きを踏んで「助成金」という形で支給する制度を利用し、歴史ある映画祭で受賞までしているのだから、もうその時点で監督としてはやることやっている。
その上、今回の映画はヒットして満額返ってくるのは確実だから、助成金の利用についてケチのつけようなど全くない。
「態度が気に入らない」程度の事で返上しろと怒っている人たちは、少し落ち着いて欲しいものである。
上記まとめ中にも書いたが、「君の名は。」や「この世界の片隅に」なども過去にこの助成金制度を利用しているらしい。
無論、そういった名作だけでなく、小さい作品や多様な方向性を持った作品、バリアフリー字幕といった目的の為の支給など、税金の使い道としては非常に有意義であると感じた。
しかしながら是枝監督は今回の話の中で、他国と比べても「額は十分ではない」という認識を示していた。
額の少なさについては、こちらの記事に詳しい。
多様な映画のために。映画行政に関するいくつかの問い掛け
ざっくりとした見積もりになるが、映画に投入される予算はフランス:800億円、韓国:400億円、日本:60億円くらいになるんだそうだ。
なるほど確かにこれだけ見るともっと予算をつけて欲しいという是枝監督の願いも理解できる気はする。
「助成金は助かりました」と述べているあたり、そのありがたみを実感しているからこその要望でもあるのだろう。
当然、限られた国家予算の中でそんななんでもかんでも増やせないという意見もあるだろうが、今回の騒動、監督の態度の問題ばかりがクローズアップされて、そのあたりの話題について語られる事がほぼなかったのは残念ではある。
煽り気味タイトルで作ったtogetterまとめではあるけど、助成金の手引き書や報告書へのリンクは貼ったので、これをきっかけに制度について知り、内容や額について語られる事が増えてくれればと思う。
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