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[映画]シン・ゴジラ

明日2017/11/12(日)21:00からテレビ朝日にて、早くも「シン・ゴジラ」地上波初放送!
というわけで、昨年映画館で観た感想を書いておきます。

バレありなので未見の方はご注意を。
バレを読んだところで楽しみが減るような映画ではないと思いますが。

各種映画賞を総ナメしただけあって、ゴジラシリーズ中最高傑作だと思う。
いや他のゴジラ観たことないけど。

最初は姿も見えず、やっと姿が見えたと思えば何だか間の抜けたゴジラの幼体で、対応する日本政府もなんとなく危機意識が希薄で頼りなさげな感じで進んでくんですよね。
大丈夫かこの映画、こっから面白くなるのかと一抹の不安を抱えたわけですが、そんなものは序盤だけでした。

ゴジラの被害が拡大し危機意識が植え付けられ、だんだんと頼もしくなってくる政府や関係機関。
しかしそれを楽々上回る速度で形態進化し、凶暴になるゴジラ。
もうこれどうやって倒すんだよって、中盤の絶望・悲壮感たるや、映画館でリアルにブルったのを覚えてます。

核で東京ごと焼くしかないよねーなんて各国が話している中、日本に3度目の核など落としてなるものかと、最期はもう電車やらビルやらありとあらゆる手段を投入し、日本をあげての総力戦でこの凶悪なゴジラを追い詰めていく。

監督の庵野秀明がエヴァンゲリオンで描いた「ヤシマ作戦」のゴジラ版と言って良いのですが、やっぱりこの展開は「アツい」です。
最高です。

 

未見の方は明日の「シン・ゴジラ」を是非!

個人的評価:★★★★★

[映画]22年目の告白-私が殺人犯です-

7月に映画館で視聴。
それが10月4日にもうBD/DVDリリースしていたそうで・・・最近は早いねえ。
昔は映画館で観てもらう為に、もっと映画公開から期間を空けてからメディア販売していたように記憶してるんだけど。

wikipediaよりあらすじ
1995年、東京で起きた5件の連続絞殺事件。警察の捜査もむなしく時効を迎え、迷宮入り事件となる。それから22年、派手なパフォーマンスとともに堂々と自分が犯人だと名乗り出た男が現れた。男の名前は曾根崎雅人。彼の書いた告白手記はベストセラーとなり、一躍時の人となった曾根崎の行動は日本中を翻弄する。

犯人だと告白した役を演じた藤原竜也と、22年前の連続絞殺事件に捜査員として関わった刑事役、伊藤英明の演技がいいんすよ。
世の中を大騒ぎにし翻弄されていく中での、この二人の底流から何故か感じる「凄みと覚悟」みたいなものがあるから、この話の展開が腑に落ちるわけですよ。
劇場型と言っていいこの犯人の告白劇場のピークである「ニュース番組での直接対決」は、キャスター役に中村トオル(今回は刑事役じゃないんだね!)とこちらも大物を配役して、とても見応えのある場面でした。(ここの中村トオルもよかったねえ)
視線や言動から「何かを狙ってる」のがわかる緊張感、一体どうなっちゃうのか、ドキドキですよ!

シナリオとしてはちょっと無理あるんじゃない?ミスリード誘うにしてもちょっとそれはないんじゃない?みたいな所が無きにしも非ずですが、役者さんの力で細かいところはねじ伏せちゃえるのはさすがです。

そんなには期待していなかったんですけど、期待以上でした。

個人的評価:★★★★☆

[映画]日本のいちばん長い日(2015年)

Netflixで視聴。
半藤一利原作で1967年版のリメイクだそうだが、そちらは観ていない。

太平洋戦争末期、天皇や大本営を中心とした玉音放送に至るまでの舞台裏を淡々と描いていく。
諦め、メンツや淡い期待、クーデターを計画し玉音放送を止めようとする若い将校たち、ポツダム宣言を受け入れるまで一筋縄ではいかなかった事がよくわかる。

本土決戦だと息巻く若い軍人たちを抑えて敗戦にもっていくのは命懸けだ。226事件による襲撃で何人も殺されてからは、軍に怖気づく政治家ばかりだったと聞くが、敗戦処理を任された鈴木首相ら閣僚の覚悟は相当だったろう。阿南惟幾が陸軍大臣を受ける時に「貧乏くじ」と呟いたのは正にそういう事で、実際、玉音放送直前では、血気にはやる将校たちの気勢を煙に巻こうとした近衛師団長ら高級将校も殺されている。

現在を生きる我々にとっては、なぜもっと早く決められないのか、この期に及んでまだそんな期待をしているのか、これ以上犠牲を重ねてどうするのかと、忸怩たる思いで観ることになるのだが、いざ当事者になれば、そして国家という巨大な生き物の中にいればどこもこんなものなのかもしれない。

イタリアはムッソリーニを吊るしたし、ドイツは首都が落ちるまでやった。
最近でもイラク戦争だって、フセインが死ぬまで続いた。

どこの国も負け方は難しいんだろう。

だからこそ最初の段階で間違わないようにしなければならないと強く思う。

個人的評価:★★★☆☆

[映画]『ハドソン川の奇跡』

『ハドソン川の奇跡』をNetFlixで視聴。
映画ファンにはお馴染み、俳優にして映画監督であるクリント・イーストウッド作品だ。
2009年に旅客機の機体トラブルからニューヨーク・ハドソン川に着水不時着した実話を元にしており、乗客乗員全員が無事生還したことから”ハドソン川の奇跡”として知られ、「ああ、あの話か」となる人も多いだろう。

物語はハドソン川の奇跡を成し遂げた直後、機長は”英雄”として称えられている状況から始まる。
しかし当の本人はそんな喝采にも浮かない顔、なぜならこれから始まる”事故調査”の結果如何で「機長の判断は誤っていた。乗客乗員の生命を無駄に危険に晒した。」と裁定が下れば、一転世間からどのようなバッシングを浴びせられるかわからない立場にいたからだ。

つまりこの映画は、不時着までの経過を丹念に追うだけかと思えばさに非ず。
むしろその後の「事故調査~調査結果が判明」するまでの物語となっており、着水までの経過は回想という形で描写されることになる。

映画を観ている我々は「そんな馬鹿な!機長は誠実に職務を遂行したじゃないか」と思いながらも、冷徹に粗を探ろうとする事故調査官たちとのやり取りにヤキモキし、ハラハラしながら「一体どうなるのか?」気が気でないままクライマックスへ進むことになる。このあたりはさすがイーストウッド、手慣れている。

この事故調査の経過のどこまでが実話かわからないけれど、ニュースでは”無事着水した英雄物語”としてしか知らなかった私にとって、それだけでは話は何も終わっていない事を知る意味で非常に良い映画だった。
また、ともすれば世間からの評価が一変してしまう危うさの上に立っている事実にも空恐ろしさを感じた。
バーで機長向けられた暖かく敬意に満ちた視線や声援も、一夜にして冷たい、侮蔑に満ちたものに変わっていたかもしれないのだ。

(そのような例として、2015年のトランスアジア航空235便墜落事故がある。当初は機体トラブルにもかかわらず、市街を外して川へ墜落したと讃えられる声もあったが、機長の操作ミスが決定的な事故に繋がったと判明して評価は一変した。ただし、機長は事故時に亡くなっている。)

ドキュメンタリーやノンフィクション好きには是非観て欲しい作品だ。

個人的評価:★★★★☆